第23回読書感想文講座「いっしょだよ」より
毎年、読書感想文の課題図書が発表されると、ドキドキしながらすべての本に目を通します。
こういう教訓を伝えたい本なのかな、とテーマ性を感じる本もあれば、お母さん方から、
「この本で感想文なんて書けるんでしょうか???」と心配される本もあります。
でも、子ども達はそんな大人の心配を見事に裏切ってくれます。
子どもと大人。本の楽しみ方、本の捉え方が、もう全然違うんですね。
1・2年生向けに私が選んだ本は「いっしょだよ」という写真絵本です。
「おはなはいっしょ ふたりでいっしょ
はっぱはいっしょ さんにんでいっしょ
きのこはいっしょ よにんでいっしょ
ひろいところで どーんといっしょ
わいわいがやがや もりはいっしょで いっぱいだ
でも ほんとはね だれもがちがうものどうし
ひとりのだれかと ひとりのだれか ひとりとひとりがいるからいっしょ」
美しい森の写真の中に、歌うように詩のような言葉が散りばめられています。
私は授業の前に、子どもたちにある宿題を出しました。
おうちの誰かと一緒に、家の周りをお散歩しながら「いっしょ」をいっぱい見つけてこよう。
もし見つかったら、絵にかくか、写真にとって教えてね、と。
子どもたちは、たくさんたくさん見つけてきてくれました。
普段、車で通り過ぎてしまう道も、ゆっくり歩けばいろいろなものを発見することができます。
目で発見するだけでなく、聞こえる音も、においも、さわった感じも…すべてが宝物になります。
わたしも、いっしょをみつけました。かがくかんのそとでそらをみたら、空をとんびがまわっていました。
そらはとんびといっしょ。
「いいな。とべるからいいな。」
とわたしはおもいました。まだまだあります。はちはおはなといっしょ。もりはくさといっしょ。あめはきといっしょでした。あめのおとはぽつぽつ。きはちょっとつめたそうだけど、きっと、あめと、きはなかよしそうです。
はたけの出るところに、モンシロチョウが二ひき、いっしょにとまっていました。二ひきがおどっているようにひらひらとんでいて、
「なかよしそうだな。わたしとお姉ちゃんみたいにあそんでいるのかな。」
と思いました。
もう一つあります。ジャガイモです。わたしが土をいっしょうけんめいほったら、大きいイモや小さいイモがいっぱい出てきました。一年生から六年生みたいで、すごくかわいかったです。いっしょにそだてたのに、大きくそだったものや小さいものがあってふしぎだな。一つ一つちがうけれど、みんないっしょなんだな、と思いました。
わたしはお母さんといっしょにきれいなバラを見つけました。太ようみたいに赤くて、花びらがいっぱいいっしょにあつまって一このお花になっていました。だから、ほかのお花よりもごうかに見えました。ほかにもいっぱい「いっしょ」を見つけました。ガとお花、二ひきのおいなりさん、お昼ねをしているねこ三びき、それからわたしとおねえちゃん。
あじさいは花火みたいに花がいっしょにあつまっていたし、クローバーは大きいのも小さいのも、おもしろい形でさいていました。みの虫が一ひきぶら下がっていて、よく見たら三ひきいました。気持ちわるかったです。青虫はゴーヤといっしょで、ちょっとかわいかったです。
うちの子は本を読まないで図鑑ばっかりみている…というお話をよく聞きます。
でも私は、図鑑もすばらしい読書だと考えています。
子どもはその図鑑の写真から、様々な情報を読みとっています。うらやましいほどに、五感を使って、
本を味わう力が子どもたちにはあると思うのです。
たいようを見つめてみると、まぶしかったです。目にみえないものは空気とたいようのねつ。でも、あついと感じたらねつとわかる。空気は、走ったらわかる。だから、ぼくは、空気とねつといっしょなんだと気づきました
わたしがこの本の中で一ばんすきなしゃしんは、いろんないろのはっぱがあるところです。いろんなはっぱがおんぶしているみたいで楽しそうです。たぶん、このはっぱの下にはだんご虫やみみずがたくさんいるのかな。わたしもはっぱの国にいって、はっぱといっしょにあそびたいな、と思いました。
「木とお友だちになって、木にのぼって、たいようと手をつないでみたいな。」
木とおひさまがいっしょにいるしゃしんを見たとき、わたしはそう思いました。人間が手をのばしてもおひさまにとどかないけれど、森の木たちはジャックとまめの木みたいにどんどんのびて、おひさまと手をつなげそうな気がします。おひさまはキラキラかがやいていて、森の木たちもキラキラかがやいています。まるでキラキラのきょうだいみたい。
「いっしょだよ」。この一冊が伝えたかったことは何なのか。一番重要なのはそこではなく、子ども達が心からこの本を楽しめたのか、とっておきの一冊になったのか。大事なのはそこだと私は思っています。
読書感想文は本の世界と自分自身の体験を結びつけることができる、とても有意義な課題です。
大人目線で「これは書きにくそう。」なんて決めつけてしまうのはもったいない。
子どもの持っている力をぜひ信じてあげてください。