第35回 木と友達になろう~ツリークライミングに挑戦!

紅葉が始まった武田の杜で、秋の課外授業を行いました。
春から子ども達が楽しみにしていた「ツリークライミング」。
愛知県・瀬戸市在住のジョン・ギャスライトさんが広げた活動です。
NHKの「モリゾー・キッコロ森へ行こうよ」のナビゲーターをもつとめておられたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
私は、名古屋のシーガルスクールで勤務していた時に、ジョンさんに出会いました。
「ツリークライミングの技術を使えば、素手で登るよりもはるかに高いところに登れます。枝の上を歩くことだってできるし、家族全員で登って木の上でダンスしたり、泊まったりすることもできます。しかし、樹皮が弱くて木が傷つきやすい時期や天然記念物に指定されている木には登らない。必ず木に感謝し、木の感触を意識し、そして森で学んだことを社会に戻すという深い想いがツリークライミングの中に盛り込まれてます」とジョンさんはある雑誌のインタビューで答えています。

「木」への愛情。感謝の気持ち。
連日、テレビや新聞では環境問題が取り上げられていますが、環境問題を語る前に、まず森と友達になる。木と友達になる。その大切さを教えてくれたのも、ジョンさんでした。

ヘルメットとサドルを着けて、いよいよスタートです。
森に入る前にみんなで森に向かって「おじゃまします!」と一礼。

高いところが苦手で少し顔がこわばっていた子どもたちが、一斉に、夢中になってロープを登り始めます。
「何がみえるー???」
下から聞いてみると、子どもたちが口々に、
「町!!」
「空!!
きっと木の上から見える世界は、これまでの視野をひっくり返すほどに広く、美しい世界だったのではないでしょうか。

image3.jpg

武田の杜、西の平から見える景色は、毎回圧巻です。
あいにく靄がかかって富士山がぼんやりだったのですが、太陽の光に照らされて街かキラキラと輝きだしたとき、一年生の男の子が大きな声で、

「ちきゅうはいいところでーーーーーす!
 かみさま ありがとうーーーー!!」

わかるよー!そう叫びたくなる気持ち。それほどに美しく神々しい光景でした。

地上に降りてきた子ども達に「今の気持ちをひとこと!」と聞くと

すごい高い
やばいやばい めっちゃ高い

空を飛んでるみたいだった
鳥と同じくらいの高さだった

宙に浮いてる感じが忘れられない
まるで風になったようだった

天までのぼれてよかったよ“
ひこうきになったみたい!

遠くから ドングリが落ちる音がした
葉っぱの音も聞こえたよ

ツリーから見た景色。
キラキラ光ってきれいだった。
街ってこんなに広いんだ―。

登った後に残る、自然に対する優しい気持ち。
大事に、大事にしようね。みんなが暮らす、この星を。
そう願わずにはいられませんでした。
4年生クラスの子ども達が春から書いてきた「環境問題を意識した物語作文・不思議な切符」。今日、木の上で感じたこと。見えた地球の広さ。さわった木々の温もり。そんな想いを最後にしっかり言葉に表して、仕上げていけたらと思っています。

木登りのあとは、思い思いに森遊び。
秋の森の「いっしょだよ」もたくさん見つけました。
image4.jpg

頭の上にコツン・コツンと落ちてくるたくさんのドングリや、風に舞う色とりどりの葉っぱ。
遊び道具を何も持たなくても、森は私たちにわくわくするような時間をくれました。

image5.jpg

素敵な時間を作り出してくださった山梨県トレジャーフォレストの堤先生、スタッフの皆さま。本当にありがとうございました!
 

コラム