第42回 「枕草子」を野外で味わおう ~2018年度 課外授業~

第一回の春の課外授業「大和自然学校」

「枕草子」を野外で味わおう ~2018年度 課外授業~

「春はあけぼの」で有名な、清少納言の「枕草子」 意味はわからなくても、声に出して読んでみるとその心地よい音の響きになんとなく 楽しい気持ちになります。

今年度はこの古典を課外授業のテーマとし、何気なく過ぎ去っていく四季の変化をみんなで意識して感じていきました。

第一回の春の課外授業は、子ども達の「秘密基地」になりつつある甲州市「大和自然学校」。
電車の車窓から眺める景色も楽しみの1つです。

まず現地に着いてからすぐにとりかかったのが「箸作り」 現地スタッフ・ジュニアリーダーと一緒に小刀を使って竹を削り、紙やすりをかけました。今日はこのお箸でお昼ご飯を食べるのです。 今日のメニューは手作りほうとう。クラスごとに協力してほうとうの麺を打ち、野菜を切りました。粉で顔が真っ白になる子が続出。いい香りがしてくる大きな鍋を、何度ものぞきに行く子ども達。できあがったほうとうの中には、みんなががんばって切ってくれた大きなにんじんやじゃがいもがゴロゴロ入っていました。

昼食後、桜の花びらが風に舞う中「春はあけぼの」をみんなで音読し、現代語訳をしてみました。
春と言えばなんだろう?春の素敵なものってなんだろう?
クラスごとに話し合いながら自由に描きました。
一人一冊配られた「白い本」はまたたくまにカラフルに。
一年間、この一冊に四季折々の美しさをぎゅっとつめこんでいけたらいいなと思います。

第二回目の夏の課外授業は「川遊び」

連日の雨が心配でしたが、予定通り、子ども達が待ちわびていた川遊びを行うことができました。 川に初めて入る子も多く、最初は怖々な感じでしたが、一度入ってしまうと大はしゃぎ。 私とリーダーたちは終始水鉄砲の標的でした。

水が冷たいため、インストラクターが温かいお湯を用意して下さり、 少し寒くなった子は日向で体にお湯をかけたり、飲んだりして温まりました。

おなかぺこぺこで帰ってきたので流しそうめんは争奪戦に。 「流れてこない!!」と怒る子もいましたが(笑)たっぷりゆでてあったのでみんなで おなかいっぱい食べました。

スイカ割りは、1年生からスタート。
みんなが一つになって「もうちょいまえ!」「左!」と必死に教えてあげる姿は本当に微笑ましかったです。
大きなスイカを2つ用意していたのですが全員に順番が回る前に2つとも割れてしまい・・・
高学年は叩くことができませんでした。
残念な思いをさせてしまってごめんね。
それなのに、文句を言う事もなくおいしい、おいしいとスイカを食べるみんなに感謝でした。
スイカの種をみんなで必死に飛ばしている後ろ姿がこれまた微笑ましかったです。

その後は全学年入り混じって、おにごっこやかけっこや・・・と走り回って遊んでいました。
遊ばないでテントの下でおしゃべりしている子、まな板などを洗うお手伝いをしてくれた子、それぞれ自由に時間を過ごしてもらいました。

最後に枕草子「夏」を読み、 白い本に「夏と言えば・・・」というテーマで自由に描きました。

「もうすぐ夏が終わってしまう。さみしい。」
と書いている子がたくさんいました。
今朝の涼しさからそう感じた子、あまりの川の水の冷たさからそう感じた子。
夏休みがあとわずかになったことからそう感じた子。
それぞれの「夏」が確かに終わろうとしていますね。
大自然の中で思い切り遊んだ1日が、とっておきの夏の思い出になりますように。

第三回目の秋の課外授業は武田の杜で「ツリークライミング」

「絶好の秋晴れの中、ツリークライミングに挑戦しました。木の頂上まで登った子、途中で止まって景色を眺めていた子。
木の上からどんぐりがコツンコツンと落ちてくる音。
肌で感じるつーんと冷たい秋の風。はるか遠くにそびえる富士山。
それぞれのペースでそれぞれの「秋」を楽しみました。

「インストラクターの堤先生から「森に入る時は挨拶をしようね。」と教えていただき、 登っていく木にみんなで手をかざして一礼。
「ツリークライミングは競争じゃないから、とにかく楽しもうね。」と先生。 空に向かって伸びる大木に身をあずけて、リラックスしている様子が微笑ましかったです。

枕草子の授業では「秋は紅葉」「秋はどんぐり」… 落ち葉を踏みしめながら歩き、どんぐりだらけの森でいっぱい遊びました。

午後のクラスが終わり、みんなで森の道を歩いて帰ろうとした時、午前のクラスの女の子が12本の色鉛筆をバッグから道に落としてしまったと連絡が。みんなで目をこらしながら落ち葉の道を歩いていると「あった!」「こっちもあった!」その色鉛筆は天然木でできていたため木の枝の色とそっくりなのです。まるでカモフラージュするかのように木々の枝や葉っぱにそっとかくれた色鉛筆を、宝探しをするようなわくわくした気持ちでみんなで見つけながら歩いた楽しい帰り道でした。

冬の課外授業は山梨県立美術館へ。

アートカードを眺めてカルタを作り、お気に入りの一枚を探しに出かけました。
外は北風が冷たく、富士山は真っ白な雪をまとっていましたが、館内の展示は少しずつ春の気配を感じられるものへ移行していました。

一年を通して四季の良さを感じられたでしょうか。
清少納言にもし会えるなら「もうすぐ春だよ。平成最後の春はここが素敵だよ」とぜひ教えてあげたいものです。

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