第11回「勇気」ってなんだろう?

 

けんかして自分からあやまるのも 勇気
運動会でドキドキしながら走るのも 勇気
高いとびばこを飛ぶのも 勇気
うそをつかないのも 勇気
点数の悪いテストを 自信をもって「はい」と見せるのも 勇気
残りひとつしかない試食を食べるのも 勇気
北極にいる気分になるような寒い朝、ぬくぬくしたふとんから出るのも 勇気
友達に言わないでと言われたことを言わないのも 勇気
強い人に立ち向かっていくのも 勇気
相手を思いやるのも 勇気  ・・・・・・・・・
 
「勇気」っていったいなんなんだろう…? 
世の中では、子ども達の自殺が相次ぎ、新聞やテレビでは、大人たちが「いじめを見たら(いじめにあったら)勇気を出して誰かに相談しよう!」…と訴えていました。勇気、ゆうき、ユウキ…。聞けば聞くほど、なんだかとっても大掛かりな、特別なもののような感じがしてなりませんでした。 
そんなとき、図書館で1冊の絵本に出逢いました。バーナード・ウェーバー作「勇気」。翻訳はあの九十五歳の現役最高齢の医師、日野原重明氏です。ぱらぱらとページをめくり、私は思わずくすっと笑ってしまいました。
「こんなにいろんな勇気があるんだ。すごいのから、そう、いつでもやれる冒険まで  でも、どれもがりっぱな 勇気 勇気。 
大好きになった子に バレンタインの贈り物を しっかり名前を書いて贈るのも 勇気  買ったばかりのズボンがやぶけたわけを 正直に言うのも勇気  いっしょに二人がはげましあうのも勇気・・・・・・」  
 
今すぐ出せる勇気。うんとがんばって出す勇気。 
何気ない日常の中には、数限りない「勇気」が存在するんだということを、この本は教えてくれたのです。子どもたちといっしょに、さっそく話し合いました。勇気を出せて「やったぁ!」と思った体験。勇気を出せなくて、くやしい思いをした体験。その中にはいじめを見たけど勇気を出して言えなかった…という話もありました。だけど、こうやって身近なエピソードをみんなの前で話し、「そう。それも勇気だよ。」とみんなで認め合っていく…。そんな経験を通して、自分は勇気をもってがんばって日々を過ごしてるんだ、ということに気づくことができたら…と願いました。 「外から見ると、消極的な、また受身の決断の中にも、静かな勇気が隠れている」 子ども達が書いた詩を読むと、日野原氏のこの言葉の意味が、本当によくわかります。 「詩の最後を、一文でまとめるとしたらどんな表現をしたい?」と聞くと、各クラスごとにいろいろな言葉が出てきました。
 
勇気って たからもの
勇気とは 自分の強い心 
勇気って がんばりの結晶 
勇気って 心のたんすからがんばって外に出すもの 
これからの未来に勇気を!
 
もしもあなたなら、どんな言葉で表現しますか? 小さな子ども達にとっては、日々直面するひとつひとつの出来事が「勇気」そのものなのかもしれません。どうか、身近なところにかくれている「小さな勇気」をしっかりと見つめてあげてください。

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