第28回 積み木と言葉のコラボレーション第二弾~サンタクロースを想う~
「もう1回チャレンジしたい人、集まれ!!」
クリスマスを目前にした12月20日。つみきワークショップ第二弾を行いました。
今回のテーマは「クリスマス」。
「サンタさんが来たらここで一休みしてもらいたい。」
「お風呂も作っておこうかな。」
一人一人が、まだ見ぬサンタさんに思いを馳せて、クリスマスの街を描きます。
プレゼントを作る子もいれば、「サンタさんは船で移動するかも。」と大きな船を作る子も。
積み木は独り占めせず、みんなで分け合う。気を配りあう。
足りない積み木をそっと持ってきてあげる、そんな連携プレーもいたるところで見られました。
ちょうど半分ぐらい完成したところで、先生が子ども達に見せたのは、丸太。
先生の家の薪ストーブの燃料となる、丸太なのだそうです。
そして、目をつぶって・・・開いた瞬間、そこに現れたのは、丸太で作られたサンタクロースたち!
「かわいい!!!」
子ども達から大歓声が起こりました。
先生は言いました。
「これはただ燃やされるだけの丸太だったんだ。だけど、おじさんはなんとかまた命を吹き込めないかなと考えて、こうやってサンタクロースに変身させたんだよ。サンタクロースはみんなにプレゼントを運ぶだけじゃない。「やさしさ」も一緒に運ぶんだ。このサンタさんたちも、みんなの作った街の中に入れてやってくれるかな?」
子ども達は大事そうにサンタの人形を受け取って、自分たちが作った街へ連れて行きました。
ここがいいかな?こっちがいいかな?
グループのみんなと相談しています。
船に乗ったサンタ。えんとつに入ったサンタ。部屋でくつろぐサンタ。
丸太で作られたそのサンタたちが、積み木の街に入った瞬間、実感しました。
「街が生きてる!このサンタたちも生きてる!」
何もしなければただ燃やされるだけの運命だった丸太は、先生の発想力・創造力を駆使した素晴らしい工作によって命を宿し、そしてその人形は、やさしさと愛情をいっぱい持って受け取った子どもたちによって今にも動き出しそうなほどに、キラキラと輝いて見えたのです。
できあがった街並みを見て、子ども達は言いました。
「サンタさんは、とても居心地がいいなあと思っていると思う。」
「また来年もこの街へ来たいなあって言ってるかも。」
そして子ども達に、先生から何も装飾していない「木」の板が配られました。
この木に命を吹き込むのは自分自身。
主役は意識しなくても注目される。脇役にどんな光を当てるのか。
どんなふうに変身させるのか。それが宿題です。
数日後、2年生の女の子のお母さんから素敵な写真が送られてきました。
ただの木の板に、命が宿りました。
私達の身の回りには、ぼーっとしていると見逃してしまいがちな感動や神秘的なものが満ち溢れています。
冷たい風の中、みんなで出かけた「冬さがし」では、大きな大きな“しもばしら”に子ども達は大興奮でした。満天の星空も、大きな夕日も、今も変わらずそこにあるはずなのに、ついつい見逃してしまいがちです。
サンタクロースは、ただ単に子ども達のほしい「おもちゃ」を運ぶだけではなく、「やさしい気持ち」も運んできてくれます。あの日、1人1人の子ども達がつみきの街を作りながら、サンタの存在を想ったように、日々の生活の中でも、周りにある自然や人々を、大切に大切に想ってほしい。そうすれば、この星はきっと、もっと素敵なものになる、そんな気がしています。
新しい一年が始まりました。
この一年が、子ども達の笑い声と、希望に満ちた一年になりますように。
2015.1.14