藤田 淳三寿(津軽三味線)
ロックバンドからフォークミュージックなど洋楽の世界から津軽三味線を通じて、和の境地に着地した藤田 淳三寿氏に津軽三味線の魅力とは何か語っていただきました。
まず、津軽三味線の魅力を教えてください。
津軽三味線は、唄の伴奏としての「唄付け」と、その前奏が著しく発展した「曲弾き」とに大分されます。現代、若者にも人気があり、巷でよく聞かれるのは「曲弾き」(インスツルメント楽曲)です。どちらにも共通して言える津軽三味線の魅力とは、まずはその哀愁を感じさせる独特な「音色」にあると思います。三味線の音というものは日本人の心に訴えかけ、なぜか郷愁を呼び覚まします。
津軽三味線のもつ独特の表現力とは?
三味線の中でも津軽三味線は豪快さと繊細さを併せ持っており、カラフルで、トリッキーです。その奏法は弦楽器というより打楽器的であり、尚且つ、超絶技法を駆使します。正直、習得は簡単ではありませんがその分奥が深い。また、ジャズやブルースのように、ある程度のパターンや決まりの中で、音やフレーズは即興演奏(アドリブ)されますので、同じ曲でも弾く人によってちがったものになります。本当に、その人の個性が出るので面白いです。唄との絡みがうまくいった時、また、自分の想いをうまく演奏で表現できた時の爽快さは格別です。
ギタリスト、作曲家を経て、津軽三味線に辿り着かれたわけですが、そのきっかけは?
中学生の頃からギターを弾いていて。その後、友達といくつかバンドを作って活動して、プロを目指していた時代もあったのですが、作曲りのほうがおもしろくなって、作曲や編曲を仕事としてやるようになりました。その後、出入りしていたスタジオのホールで、今の私の師匠である藤田淳三氏の演奏を聴きました。その当時、自分で独奏できる何かプリミティブな楽器がやりたいと思っていたので、私の日本民族的とも言うべきDNAが「おおおっ!これだ!」って反応しまして(笑)。それから何年か経ってからですが、氏が主宰する「藤田淳三 三絃会」に入門し、三味線を手にしました。
津軽三味線を通じて日本人であることに目覚めたのですね?例えば、どんな風な気づきがありましたか?
1、和の音に敏感に反応するようになる。
(TV見てても、街を歩いてても、「あ、三味線の音だ!」とか。)
2、和のモノや作法に触れる機会が多くなる。
(きものを着たり、帯をまいたり、またその着方を習得したり。草履を履いたり。小物入れはやっぱり和柄を選んじゃうとか。(笑)日本の文化の素晴らしさを再発見できます。)
3、自然は大切にしなければ、と思うようになる。
(三味線の部品はすべて自然のものからできています。動物の体の一部だったり、希少な木材だったり。ありがたい楽器なのです。)
4、礼儀作法が身につく。
(堅苦しいことではなく、ごく当たり前だが挨拶や、人への思いやりができるようになる。)
5、おじいちゃん、おばあちゃんと仲良くなれる。
(年配の方は民謡が好き。また知識も豊富なので、こちらの勉強にもなる。老人ホーム等への慰問演奏は楽しいですよ。)
6、津軽三味線の大会に出場することも可能。
(日本全国で多数の大会が繰り広げられております。今やプロの登竜門ですが、そこまでじゃなくても、上位を目指すことは自分の演奏レベル上達の目標にもなります。)
7、手にしたその時から、あなたも「三味線弾き」です。
(今日から、「私の特技は津軽三味線です」と言えます。そしてだんだん上達したら、自分の想いをこの楽器で誰かに伝えることができます。)
これから津軽三味線を習う人へのメッセージをお聞かせください。
学校教育に和楽器がようやく取り入れられたそうですが、指導者の確保も難しいようです。やはり、ちゃんと習得するならば専門の教室で学ばれることをお勧めします。とくに津軽三味線は基本がとても大事なので、独学では後々必ず行き詰ると思います。当教室は「清く(礼儀)、楽しく(笑顔)、美しく(姿勢)」をモットーに、基礎からやさしく、丁寧に教えます。まずは一曲、簡単な曲を弾けるようになりましょう。年一回は発表会を開きますので、そこでみんなでご披露することもできます。老若男女、年齢問わず。あなたも、古くて新しい日本の伝統楽器、津軽三味線を手にしてみませんか。