第34回 とっておきの秘密基地

「ここはどこでしょう!全然変わってなかったよ!なつかしくってドライブ途中にふと寄ってみました。」
ある日、突然送られてきた一通のメールと写真。送り主は社会人になったばかりの素敵な青年。
それは胸が切なくなるほどになつかしい、思い出のキャンプ場の写真でした。
もう15年も前のこと。名古屋のスクールで働いていた時、私は2カ月に一回子ども達と電車に乗って、森へキャンプに出掛けていました。15人の同じメンバーで寝食をともにし、星を見上げ、落ち葉に埋もれ。笑ったり、泣いたり、悩んだりしたその場所が、いつの日か子ども達にとって大切な「秘密基地」になってくれたら・・・。そう願ったあの頃を昨日のことのように思い出します。

その思いは今も同じです。作文倶楽部の子ども達と野外に出掛ける時、窓から見えるその風景や降り立つ駅の香り…ふと何かに行き詰った時、ふらりと立ち寄って元気をもらえる、そんな秘密基地になってほしい。そう願いながら今年度も課外授業が始まりました。

電車に揺られて、春の大和自然学校へ出発です。駅で大好きなスタッフとの再会を喜び、「もう一回作りたい!!」と要望が多かった石窯ピザに挑戦。この春からの新しいメンバーも、野外料理に夢中になるうちにすっかり打ち解けていきました。

今年のテーマは森の「いっしょ」を見つけよう。

「おはなはいっしょ ふたりでいっしょ
はっぱはいっしょ さんにんでいっしょ
きのこはいっしょ よにんでいっしょ
ひろいところで どーんといっしょ
わいわいがやがや もりはいっしょで いっぱいだ
でも ほんとはね だれもがちがうものどうし 
ひとりのだれかと ひとりのだれか ひとりとひとりがいるからいっしょ」
(「いっしょだよ」  小寺卓哉・作)

写真絵本「いっしょだよ」を題材に、森の中に存在するたくさんの「いっしょ」をさがします。 「いっしょだよ」の詳細はこちらのコラムで紹介しています。
さあ、カメラを持って、森の中を散策です。

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ちょっとピントがぼけているものもあるけれど・・・それもまたいい味が出ています。


そして最後に。今日は母の日。
森で見つけた草花とメッセージを添えて、お母さんに色紙を作りました。
3年生の女の子は、「どうしてもお母さんに四葉のクローバーをプレゼントしたい!」
探して、探してついに見つけた時のあの笑顔。本当によかったね!

感動したのは、誰もがめんどうくさがることなく、本当にニコニコと、一生懸命取り組んでいたことです。お母さんを喜ばせたくて、みんな夢中なんですね。母って本当に偉大です。
みんなが見つけた「春」とともに、みんなの気持ちもお母さんにちゃんと伝えられたかな。

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慣れない電車に揺られる小さな冒険。普段よりもきっと苦労も多いと思うけれど・・・
ここがみんなにとって、とっておきの秘密基地になってくれたらいいな、そう願っています。


*ちびっこプレスで授業の様子が紹介されました。
 →http://no1-create.jp/books/actibookchibikko201609/_SWF_Window.html

 

2016.9




 

コラム